ホンダが見据える「30,000ドル以下EV」の未来と、日本から感じる市場の温度差

ホンダがアメリカ市場に投入する新しい電気自動車シリーズ「0シリーズ」。その第一弾として発表されているSUVモデルは、サイズ感としてはCR-Vに近いカテゴリーとなりますが、価格帯はやや上になると予測されています。いまアメリカの自動車市場では、EV(電気自動車)の本当の勝負どころは「30,000ドル以下」、つまり手の届きやすい価格帯へ移行しつつあります。しかし、現実的にはその道のりは平坦ではありません。

ホンダの三部社長は「将来的には30,000ドル以下のEVを検討する」と述べていますが、それが「すぐに」ではない理由として、現在のアメリカの政策と市場動向を挙げています。特に、EV普及を後押ししていた補助金制度(IRA)の後退や、新政権下での環境政策の変化が、EV市場の成長スピードそのものに影響を与えているという見方です。「今は慌てて低価格EVを出す時期ではない」との判断は、メーカーとして非常に現実的だと感じます。

私自身、徳島県三好市で車のコーティング専門店SOUPを運営している立場から見ても、EVの普及には「価格」だけでなく「長期使用の安心感」が欠かせないと考えています。電気自動車はメンテナンスの考え方も異なり、外装の保護においても、従来のガソリン車以上に「長期的に状態を維持する」視点が重要になってきます。

例えば、当店で施工しているセラミックコーティングは、車体表面に強固な保護膜を形成し、紫外線・雨・汚れからボディを守る役割を果たしています。しかし、その仕上がりと持続性をさらに安定させるために、下地に使用する「ガスプライマー」という工程が非常に大切になります。ガスプライマーは、コーティング剤と塗装面の密着性を高める役割を持ち、結果として「より透明感のあるツヤ」と「耐久性の向上」が生まれます。

 

EVは「静か」で「滑らかな加速」を特徴としますが、それらは同時に「シンプルで上質なデザイン」を引き立てる方向に文化が進んでいます。つまり、ボディ表面の美しさは、これまで以上に車そのものの印象を左右する時代になっているのです。だからこそ、購入時にコーティングを含めた「長期美観の維持」をセットで考えるユーザーが明らかに増えてきています。

ホンダの「今は時期を見極める」という姿勢は、焦らず市場の成熟を観察しながら、最適なタイミングで価値ある商品を届けようとするものだと感じます。私たちSOUPも同じで、ただ新しいものを導入するのではなく、確実な品質と結果に繋がる技術だけを提供する姿勢を大切にしています。

電気自動車がより身近になる時代、クルマは「使い捨て」ではなく「長く美しく共にする存在」へ。その変化に寄り添うために、私たちのコーティング技術も進化を続けています。

EV時代に求められる「長期価値」と外装メンテナンスの考え方

徳島県三好市カーコーティング専門店SOUPで施工中の新車 ホンダ RC5 オデッセイ アブソルート。 SystemX Crystal SS前の全体洗浄と丁寧な下地処理を行う作業風景。

ホンダが2030年代に向けて「幅広い価格帯のEVを揃える」と明言した背景には、単に安い車を作るという考え方ではなく、ユーザーが「次の時代に何を求めるか」という視点が含まれていると感じます。クルマは道具でありながら、所有者の価値観や暮らし方を映し出す存在です。電動化が進む今、その価値観はより「長期的な品質」や「自分らしさの維持」へと向かっています。

ガソリン車と比べて、EVは走行音が静かで振動も少なく、運転中に感じられる情報がとても繊細です。だからこそ、オーナーはクルマの細部、たとえば外装の質感や光の映り込み、塗装の透明感といった部分に意識が向くことが多いように思います。実際、当店SOUPにEVでご来店されるお客様の多くは「購入直後の一番良い状態を長く保ちたい」というご相談をされます。

こうしたニーズに応えるうえで、セラミックコーティングとガスプライマーは非常に大きな役割を果たします。セラミックコーティング自体は硬度・耐久性・光沢に優れた保護膜を形成しますが、その性能を最大限に引き出すためには「下地処理」と「結合強度」を高める工程が欠かせません。

特にガスプライマーは、単に表面を整えるだけではなく、塗装とコーティング剤の間に「分子レベルの結びつき」を作ることで、仕上がりの美しさと持続性を大幅に向上させます。EVはボディデザインがシンプルで光の反射が分かりやすい形状が多いため、この差ははっきりと表れます。ガスプライマーを使った車体は、光がスーッと滑るように流れ、まるで水面に映り込む景色のような透明感を帯びます。

徳島県三好市カーコーティング専門店SOUPで施工中の新車 ホンダ RC5 オデッセイ アブソルート。 SystemX Crystal SS前の全体洗浄と丁寧な下地処理を行う作業風景。

また、EVは車体の重量バランスが異なるため、洗車時の摩耗や表面ダメージが起きやすいポイントも微妙に変わります。日々のメンテナンスや洗車の頻度、保管環境の湿度や日射角まで、実際に車両を扱ってきた立場からお伝えできることは多くあります。

ホンダが「時代に合わせて、必要なときに必要なクルマを提供する」という視点でEV市場を見つめているように、私たちSOUPも「その車が最も美しくある状態を、できるだけ長く保つ」という視点でサービスを提供しています。車は生活の道具であると同時に、自分の毎日の景色をつくる存在です。その車がいつ見ても美しい状態であれば、オーナーの気持ちは自然と優しく整います。

電気自動車が今後さらに普及していく中で、「安く買えること」だけではなく「長く大切にできること」が、クルマ選びの基準になっていくと考えています。だからこそ、コーティングは「オプション」ではなく「価値を守る基盤」なのです。

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