アメリカで起きている「排ガス規制の大転換」を、現場目線で考える

アメリカで、かなり大きな方針転換が起きました。これまで排出ガス、特に温室効果ガスが「人の健康に悪影響を与える」として位置づけられてきた考え方が、政府主導で取り消されたのです。この判断は、過去10年以上にわたって続いてきた自動車の排ガス規制や燃費規制、その根拠そのものを見直すという意味を持っています。
ニュースだけを見ると、「規制がなくなってクルマが安くなる」「選択肢が増える」という、どこか前向きに聞こえる話に感じる方もいるかもしれません。ただ、SOUPで日々クルマと向き合っている立場からすると、もう少し複雑です。
近年のクルマは、環境規制を前提に設計されてきました。エンジン制御、排気系、電装系、そしてEV化。これらは単なる“流行”ではなく、長い時間と莫大なコストをかけて積み上げられてきたものです。それを「やっぱりやめます」とひっくり返すと、メーカー側もユーザー側も、正直戸惑います。

現場で感じるのは、クルマがどんどん「静かで、情報量の少ない存在」になってきているということです。EVやハイブリッドが増え、音や振動が減ると、人の意識は自然とボディの質感や映り込みに向かいます。塗装のわずかなムラ、洗車キズ、くすみ。以前なら気にならなかった部分が、はっきり見えてくる。
規制が緩んだからといって、クルマの価値が雑に扱われるようになるかというと、実際は逆です。見た目、質感、清潔感。そういった「数字に表れない部分」が、これまで以上に評価される時代に入っています。
環境規制の是非は簡単に白黒つけられる話ではありません。ただ一つ言えるのは、制度が揺れても、クルマを大切にしたいという気持ちまで揺れるわけではない、ということです。
制度が変わっても「下地の考え方」は変わらない|コーティングの本質

SOUPをやっていて、制度や流行が変わるたびに思うことがあります。それは、「結局、最後に差が出るのは下地だ」ということです。排ガス規制がどうなろうと、EVが増えようと、クルマの塗装そのものがなくなるわけではありません。
むしろ、環境性能が声高に語られなくなった今後は、オーナー自身が「このクルマをどう扱うか」が、よりはっきり表に出てくる時代になると感じています。雑に使う人と、丁寧に付き合う人。その差は、数年後のボディを見れば一目瞭然です。
セラミックコーティングは、見た目を派手にするためのものではありません。本質は、塗装を安定させ、余計な劣化を起こさせないことです。洗車キズが入りにくくなり、汚れが定着しにくくなる。それは結果であって、目的は「長く気持ちよく乗れる状態を保つ」ことにあります。
SOUPでガスプライマーを併用しているのも同じ理由です。コーティング剤の性能を誇張したいわけではなく、塗装面とコーティングの間に、きちんとした“つながり”を作りたい。それだけです。目に見えない部分ですが、ここが安定すると、数年後の差が確実に変わります。
アメリカの規制緩和を見て、「クルマは自由になった」と感じる人もいるでしょう。でも、自由になったからこそ、どう付き合うかが問われる。僕はそう思っています。
制度は変わります。政治も変わります。でも、クルマを大切にしたいという感覚と、きれいな状態で乗り続けたいという気持ちは、これからも変わらないはずです。その気持ちに、静かに寄り添うのが、SOUPの仕事だと思っています。


























