新型ランドクルーザーFJは「小さい」のか。数字から見える本当の姿

東京で開催されたジャパンモビリティショーにおいて、新型ランドクルーザーFJを実際に目にしたとき、多くの方が感じた印象は「思ったより小さくない」というものでした。インターネットで写真だけを見ていると“ベイビーランクル”という呼び方や、ジムニーの延長線上のようなイメージから、どうしても「小柄なSUV」という先入観が先に立ちます。しかし、実車を前にしたときの存在感は、その印象を良い意味で裏切ります。
ランドクルーザーFJの全長は約4,575mm。これは、いわゆるコンパクトSUVと呼ばれる車種より明確に大きく、現行RAV4と比較しても数センチ程度の差に留まります。全高は1,960mm前後と非常に背が高く、実際に街中や山間部の景観の中に置かれた時、しっかりとSUVとしての視覚的な“厚み”を持っています。「あれ、全然小さくないじゃん」と感じるのは自然なことです。
ただし、ホイールベースはやや短めで、そこが室内空間の広さに影響を与えています。「外は大きいのに中は少しタイト」という評価が生まれるのは、まさにこのためです。しかしそれは「悪い」という意味ではなく、むしろクルマのキャラクターを明確にしています。FJは広い荷室や快適性優先のSUVではなく、あくまで“道を選ばないアクティブな相棒”。狭い山道、川沿い、林道、そして地方の生活道路にも素直に入っていけるサイズ感は、むしろ日本にこそ調和するものです。
徳島の三好市でSOUPを営む私たちにとって、この「山と街を行き来できるサイズ」は、ただの数字ではありません。日常の移動で峠道を越え、時に河川敷でのアクティビティに寄り道し、また家族や仲間とコーヒータイムを楽しむ。そうした生活圏に寄り添うクルマこそ、真に“使えるクルマ”だと考えています。

そして、こうしたアウトドアでの使用シーンが増えるほど、ボディの塗装面は紫外線や砂埃、雨染み、樹液、鳥フンなど多くの負荷にさらされます。そこで重要になるのが、セラミックコーティングです。表面に硬化膜を形成し、塗装を“守る層”を作ることで、ダメージを受けにくくし、汚れが付着しても落としやすくなります。
さらに、セラミックコーティングの性能を最大限に引き出すために、私たちは下地処理工程でガスプライマーを使用しています。これは単なる脱脂や油膜取りではなく、塗装面に対し、コーティング剤が「定着しやすい状態」を作るためのプロ技術です。硬化後の定着力が大幅に異なり、特にアウトドア使用が増えるクルマには、耐久性の差がそのまま実用性に影響します。
ランドクルーザーFJは、見た目は遊び心がありますが、使い方次第で長く付き合える道具となるポテンシャルを秘めています。だからこそ、購入後のケアこそ価値を左右します。新車時の塗装は完全ではなく、適切な下地処理とコーティングにより、その性能と美しさを“初期値以上”に引き上げることができるのです。
ランドクルーザーFJと「所有する喜び」。内装の質感とメンテナンスという現実について

新型ランドクルーザーFJを実際に見て、触れて、座ってみると、多くの人がまず感じるのが「内装の質感は控えめだ」という点です。樹脂パーツが中心で、豪華さや華やかさとは無縁です。最近のトレンドである大きなインフォテインメント画面や、ラグジュアリー寄りのアンビエントライトとも距離があります。良い意味で、質素で飾り気がありません。
では、これは欠点でしょうか。私はそうは思いません。むしろ、この“素のまま”の質感は、ランドクルーザーが本来持っていた「道具としての価値」を忠実に残したものだと感じています。手袋のまま触れるスイッチ、傷が入っても味になる素材、使い込んでいくことで自分の車になっていく感覚。それは、実用車を長く乗り継ぐ文化を持つ人にとって、歓迎すべき個性です。
しかし同時に、誤解してはいけない現実もあります。素材がシンプルだからこそ、「使い方」と「メンテナンス」によって、内外装の見栄えや快適性は大きく変わります。特に、外装のボディはアウトドアや地方での使用が前提となるほど、紫外線・砂埃・樹液・鳥フン・虫の付着など、常にストレスに晒され続けます。新車の状態はあくまでスタート地点であり、そこから“どのように守るか”が大切になるのです。

私たちSOUPでは、ボディ保護の中心にセラミックコーティングを据えています。セラミックコーティングは、塗装の上に高耐久の硬化被膜を形成し、洗車時の摩擦や外的要因による劣化を抑えます。ただ「艶が出る」だけではなく、歳月による風化に対して、車と向き合う時間を長く、穏やかなものにしてくれます。
しかし、コーティングの性能を最大限発揮できるかどうかは、施工前の下地処理にかかっています。特に重要なのが、当店で使用しているガスプライマーです。これは、表面の状態をただ整えるだけではなく、塗装面に対して「コーティングが密着しやすい環境」を化学的に作り上げる役割を担います。たとえ同じコーティング剤を使っても、ガスプライマーを通しているかどうかで、耐久性・水弾き・光沢感が明確に変わります。

ランドクルーザーFJは、外観に遊び心がありながら、実際は“道具としての誠実さ”を持った車です。だからこそ、所有した時に生まれる喜びは、「きれいに乗り続けられるかどうか」によって決まっていきます。その車が手元で年月を重ねるほど、自分の生活と地続きになっていく。そんな感覚が、このクルマには似合います。
徳島の三好市は、山と川がすぐそばにある土地です。早朝の薄明かり、山肌にかかる霧、雨上がりの光に濡れたアスファルト。そうした景色の中に、ランドクルーザーFJのシルエットはよく馴染みます。そして、その景色を走るクルマを美しく保つ作業は、ただの洗車ではなく、「暮らしそのものを整えること」に近いと感じています。
ランドクルーザーFJは、“小さいから日本向け”でも“豪華ではないから安い車”でもありません。自分の生活圏と調和し、自分の手で育てていく楽しさを持ったクルマです。だからこそ、私たちは、その魅力を丁寧に長く保つためのお手伝いを続けています。


























