トヨタが「つまらないクルマ」をやめた本当の理由を、現場で車と向き合う立場から考えてみる

徳島県のカーコーティング専門店SOUPで、新車トヨタ GRヤリス(GXPA16)にSystemX PROセラミックコーティングを施工中の様子。細部洗浄とボディ全体の洗浄工程を丁寧に実施し、艶やかな仕上がりを目指す作業風景。

「もう、つまらないクルマは作らない」。
2017年、当時社長だった豊田章男氏がそう語った言葉を、私は今でもよく覚えています。正直、その時は半信半疑でした。大きなメーカーほど、どうしても無難で角の取れたクルマづくりになってしまうものだからです。

ですが2025年の今、トヨタの動きを見ていると、その言葉が決してスローガンではなかったことがよく分かります。GRスープラ、GRカローラ、そして今回発表されたGR GTやGR GT3、さらには電動化された新しいLFAの存在。これは単なるスポーツモデルの追加ではなく、「クルマが好きな人の気持ち」を本気で取り戻しに来ている流れだと感じています。

SOUPで日々クルマに触れていると、オーナーさんが本当に大切にしているのはスペック表の数字だけではない、ということを強く感じます。エンジン音、ステアリングを切った時の反応、ボディの剛性感、そして「このクルマに乗っている時間が好きかどうか」。GR GTは、まさにそこを真正面から作り込んだクルマだと思います。

アルミシャシーに低重心設計、4.0リッターV8ツインターボ、トランスアクスル方式の8速AT。こうした構造は、ただ速さを求めた結果ではなく、走らせた時の一体感や、ドライバーがクルマと会話できる感覚を優先した結果だと感じます。これは「勝つためのクルマ」であると同時に、「次の世代に運転の楽しさを伝える教材」のような存在でもあるのでしょう。

こうした思想は、私たちの仕事にも通じる部分があります。セラミックコーティングガスプライマーは、単に塗装を守るための作業ではありません。オーナーさんがそのクルマと過ごす時間を、少しでも気持ちよく、誇らしいものにするための下支えだと考えています。良いクルマほど、表面の質感や塗装の状態が、その価値や満足度に直結します。

トヨタが「基本に立ち返る」と語るように、クルマづくりも、手入れも、結局は同じです。派手なことより、見えない部分をどれだけ丁寧に積み重ねているか。その積み重ねが、数年後に大きな差になって表れてきます。

GR GTが示す「走る楽しさ」と、長く大切に乗るためのコーティングという考え方

GR GTの開発責任者が語った「走る楽しさとクルマへの情熱を次の世代に伝えたい」という言葉は、とても印象的でした。これはモータースポーツの話だけではなく、日常でクルマと向き合うすべての人に向けたメッセージだと思います。

90年代のトヨタを思い出す方も多いでしょう。スープラ、セリカ、MR2。クルマが単なる移動手段ではなく、人生の一部だった時代です。今、その空気が少しずつ戻ってきているように感じます。そして、そうしたクルマは「買った瞬間が完成」ではなく、「どう付き合い、どう守っていくか」が重要になってきます。

SOUPに来られるお客様の中には、「このクルマは長く乗りたい」「将来、価値を落とさず残したい」とおっしゃる方が少なくありません。特にGRシリーズのような思想の強いクルマは、時間が経つほど評価される可能性があります。そのためにも、塗装や素材を新しいうちから正しく守ることが欠かせません。

セラミックコーティングは、見た目の艶や汚れにくさだけでなく、紫外線や熱、酸性雨からボディを守る役割があります。そしてガスプライマーは、その密着性と安定性を高め、コーティング本来の性能を長期間維持するための重要な工程です。これは派手なオプションではなく、「クルマを大切にするための土台」だと考えています。

 

GR GTのように、重心、剛性、空力を一つひとつ詰めていくクルマづくりと同じで、コーティングも下地処理と工程の積み重ねがすべてです。表面だけを整えても、本当の満足感は得られません。だからこそ、私たちは時間をかけ、目に見えない部分を大切にしています。

「楽しいクルマを、楽しいまま乗り続ける」。そのために何が必要か。トヨタの挑戦を見ていると、その答えは意外とシンプルだと感じます。基本を大切にし、誠実につくり、誠実に向き合うこと。その姿勢は、クルマづくりにも、私たちの仕事にも、しっかりと通じています。

GR GTが示した未来を、オーナーさん一人ひとりのカーライフの中で、きちんと形にしていく。そのお手伝いをするのが、SOUPの役割だと考えています。

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