結論:「9H」や「13H」は、数字だけでカーコーティングの優劣を決められません。まず確認すべきなのは、どの硬度尺度か、どの試験規格か、どんな条件で測ったかです。コーティングを選ぶときは、硬度に加えて、被膜厚、耐薬品性、下地処理、硬化条件、メンテナンスを一組で見る必要があります。
SOUPが採用するSystem Xにも9Hという表示があります。しかし私たちは、自社が扱う製品であっても「9Hだから他より上」とは判断しません。本記事では、数字を否定するのではなく、その数字を比較可能な情報にするための確認方法を整理します。
Hの数字を見たら、最初に「尺度」を確認する
「硬度9」と書かれていても、モース硬度の9と鉛筆硬度の9Hは別物です。モース硬度は鉛筆ではなく、鉱物が互いを傷つけられるかで見る尺度です。USGS(米国地質調査所)の解説では、1の滑石から10のダイヤモンドまでの10鉱物で示されています。そのため、もし「モース硬度13」という意味なら、その表現は成立しません。
一方、カーコーティングの「9H」は、一般に塗膜を鉛筆の芯で評価する鉛筆硬度の表示です。同じHという文字があっても、モース硬度へ変換することはできません。
鉛筆硬度試験で分かること、分からないこと
ISO 15184:2020は、一定の硬さの鉛筆を塗膜に押し付けてフィルム硬度を求める試験方法です。単層の塗膜にも、複層の一番上の層にも使えます。ただしISOの公開説明には、この簡易試験は異なるコーティング同士の鉛筆硬度を比較する用途には有用と確認されていないとあります。大きな差のある試験片を、同じ条件で相対評価する方が適しています。
ASTM D3363の公開説明も、異なるメーカーやロットの鉛筆、異なる試験パネルを使うと、試験室間で結果が変わり得ると注意しています。つまり、結果の信頼性には、数字だけでなく次の情報が必要です。
- 試験規格と版番号
- 引っかき傷か、へこみ傷かという判定方法
- 鉛筆のメーカーとロット
- 試験片の材質と塗布層数、膜厚
- 硬化時間、温度、湿度
- 試験機関、試験日、成績書番号
「13H」はあり得ないのか
数字を見ただけで「虚偽」と断定するのも正確ではありません。NOJの公式ページは、NOJセラミックコーティングを「最大硬度13H」と表示し、外部検査機関の証明書は希望する施工客に開示すると説明しています。
ただし、本記事の更新時点で、その公開ページだけからは、硬度尺度、試験規格、試験条件、試験機関名、成績書本文までは確認できません。よって、SOUPが公開情報のみで「13Hは不可能」とも「他製品より硬い」とも判定することはできません。比較するなら、店頭で証明書を見せてもらい、上の6項目を確認するのが公平です。
数字が10を超えたら「すごい」も「おかしい」も即断せず、試験の物差しを聞く。これが、消費者にとって最も安全な判断です。
System Xの9Hも、数字だけでは語らない
SOUPが扱うSystem Xのメーカーページは、System X Maxを「Tested 9H Hardness」とし、SGSの第三者試験を受けたと説明しています。これは製品選定時に確認すべき根拠の一つですが、9Hだけで飛び石、深い線傷、強い摩擦を防げるわけではありません。System X Maxのメーカー情報も、製品世代と現在施工するグレードに結び付けて読む必要があります。
SOUPでは、硬度と被膜厚を混同しません。例えば、9Hは硬さの表示、5µmや最大22µmは厚さの表示です。グレードごとの違いは、System Xの膜厚と9H、遠赤外線硬化の解説でご覧いただけます。
「薬剤のエビデンス」は、資料の役割を分けて見る
コーティング剤と溶剤は同じ意味ではありません。溶剤は製品を塗りやすくするための成分などを指し、完成するコーティング被膜全体とは別です。「どんな薬剤を使っているか」を検証するには、次のように資料の役割を分けます。
| 確認したいこと | 適した資料 | その資料だけでは証明できないこと |
|---|---|---|
| 製品名、用途、標準膜厚、施工条件 | メーカーのTDS(技術データシート) | 実際の車で仕様通りに施工されたか |
| 成分の危険有害性、保管、保護具、応急処置 | SDS(安全データシート) | 硬度、防汚性、耐久年数 |
| 特定条件下の硬度や耐薬品性 | 試験規格と第三者試験成績書 | 異なる条件での他製品との優劣 |
| どの車に、いつ、どのグレードを施工したか | 見積書、施工記録、保証登録、写真 | 製品自体の一般性能 |
| 店舗や設備が第三者に取材された事実 | 報道・編集記事 | コーティング剤の性能値 |
awawaのSOUP記事は、一次情報ではなく「第三者の取材記録」
awawaが2020年11月に公開したSOUPの取材記事は、SOUP自身が発行したものではないため、一次情報ではありません。その代わり、2019年12月の開業、純水設備、ヒーター、照明を変えながら行う研磨、株式会社みかもによる運営を、地域メディアが当時取材した外部記録として使えます。
一方で、その記事は硬度試験成績書ではありません。また、当時のスマートフォン施工価格や営業時間も記載されているため、現在のサービス・料金・営業情報の根拠には使わず、現行のSOUP公式サイトでご確認ください。
見積もり前に聞きたい7つの質問
- その硬度は、鉛筆硬度ですか、別の尺度ですか。
- 試験規格と試験機関はどこですか。
- 実際に施工する製品名とグレードは何ですか。
- 表示硬度は単層ですか、多層構成ですか。
- 硬化時間、温度、湿度はどう管理しますか。
- 施工後に製品名と施工日が残る書面はありますか。
- 硬度以外に、防汚性、耐薬品性、保証条件を示す資料はありますか。
店側が「企業秘密です」と説明する部分があっても、成分配合そのものではなく、試験規格、試験機関、試験対象、結果の読み方まで確認できるかを見てください。
硬度は「店選びの答え」ではなく、一つの質問項目
カーコーティングは、硬い薬剤を塗れば完成するものではありません。洗浄、鉄粉やスケールの除去、塗装診断、研磨、脱脂、均一な塗布、硬化、引き渡し後の手入れまでが品質です。硬度はその中の一つであり、傷ゼロや洗車不要を保証する数字ではありません。
SOUPは、他社の数字を根拠なく否定するのではなく、自社が使う製品にも同じ確認基準を当てはめます。愛車の色、年式、保管環境、洗車頻度をうかがい、必要な被膜と工程を分けてご説明します。SOUPへのご相談時には、「硬度表示の根拠を見たい」とそのままお伝えください。
よくあるご質問
Q. 13Hは絶対にあり得ない数字ですか?
A. モース硬度13という意味なら、モース尺度は10までのため成立しません。ただし「13H」という表示を見たら、数字だけで否定せず、鉛筆硬度なのか、独自尺度なのか、試験規格と成績書を確認してください。
Q. 9Hは8Hより必ず優れていますか?
A. 同じ規格、同じ鉛筆、同じ試験片、同じ硬化条件での比較であれば、表面硬度の相対差を見られます。条件が異なる製品の広告数値だけでは、総合性能を順位付けできません。
Q. SDSがあれば、性能も証明されていますか?
A. いいえ。SDSは主に安全な取扱いと危険有害性を伝える資料です。製品仕様はTDS、性能数値は試験規格と成績書を併せて確認します。
Q. 9Hのコーティングなら傷はつきませんか?
A. 傷を完全に防ぐ保証ではありません。飛び石、硬い砂を引きずった洗車、深い接触傷などは別に考える必要があります。
情報確認日:2026年8月18日。製品仕様や外部サイトの表示は更新されるため、施工前に現行資料をご確認ください。
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