アメリカから消えるボルボのワゴンと、クルマに宿る記憶の話

ボルボとワゴン。この二つの言葉は、アメリカではほぼ同義語のように扱われてきました。80年代、90年代、そして2000年代初頭。郊外の住宅街には必ずと言っていいほど、角張ったボルボのワゴンが停まっていた記憶があります。クルマに詳しくなくても、「ああ、あれはボルボだ」と分かる存在感がありました。

その象徴的な存在が、いよいよアメリカ市場から姿を消します。[Volvo V60 Cross Country]。現在アメリカで販売されている最後のボルボ製ワゴンが、2026年4月で生産終了となることが発表されました。新規オーダーは2026年1月下旬まで。つまり「欲しい」と思った人に残された時間は、もうそれほど多くありません。

SUVが主流となったアメリカ市場の流れを考えれば、この決断は理解できます。実際、ボルボ自身も「アメリカの顧客は圧倒的にSUVを選んでいる」と明言しています。それでも、ワゴンという選択肢が完全に途切れるという事実には、どこか寂しさが残ります。便利さや合理性だけでは測れない、生活とクルマの距離感が、また一つ変わってしまうように感じるからです。

私自身、SOUPで日々さまざまなクルマに向き合っていますが、ワゴンには独特の「時間の重なり」を感じることがあります。家族で出かけた記憶、犬を乗せた帰り道、少し無理をして積んだ荷物。その一つ一つが塗装の奥に、確かに刻まれているように見えるのです。だからこそ、単なる販売終了のニュースではなく、「ひとつの文化の区切り」として受け止めてしまいます。

今回の発表では「この世代のワゴンが最後」という含みも残されていますが、「ワゴンが好きなアメリカのお客様には、まだ少し時間があります」という表現は、正直あまり明るい未来を想像させるものではありません。それでも、今走っているボルボのワゴンたちが、これからも長く大切にされていくこと。それが、このクルマたちへの何よりの答えなのだと思います。

ワゴンを長く乗るという選択と、コーティングという備え

ボルボのワゴンが新車で買えなくなる。そう聞くと、「では次は何に乗ろうか」と考える方も多いでしょう。一方で、「今乗っているワゴンを、できるだけ長く大切にしたい」と思う方も、確実に増えるはずです。私は後者の選択こそ、これからの時代により意味を持つと感じています。

ワゴンは実用車です。雨の日も、雪の日も、荷物が多い日も関係なく使われます。その分、ボディは常に過酷な環境にさらされます。紫外線、酸性雨、融雪剤、黄砂。アメリカでも日本でも条件は違えど、塗装が傷みやすいことに変わりはありません。だからこそ、単なる「見た目を良くするため」ではなく、「クルマを長く使うための備え」として、セラミックコーティングの価値が生きてきます。

SOUPでは、コーティング施工の前段階として、塗装表面の状態を丁寧に整えることを何より重視しています。その中で重要なのがガスプライマーの工程です。これはコーティング剤の密着性を高め、塗装との結びつきを安定させる役割を果たします。ワゴンのように使用頻度が高く、洗車回数も多くなりがちな車両ほど、この「下地の質」が耐久性に直結します。

 

派手な高性能ワゴンが話題になることもありますが、実際に日常を支えてきたのは、こうした実直なロングルーフでした。だから私は、ボルボのワゴンが新車市場から姿を消しても、その価値が失われるとは思っていません。むしろ「これからどう守り、どう付き合っていくか」が、より重要になるフェーズに入っただけです。

クルマは消耗品でありながら、同時に思い出の器でもあります。セラミックコーティングやガスプライマーは、その思い出を閉じ込めるための特別な技術ではありません。ただ、日々の傷みを少し遅らせ、次の10年へつなぐための現実的な選択肢です。ワゴンと共に過ごしてきた時間を、これからも続けていきたい。そう考える方にこそ、知ってほしい考え方だと思っています。

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