ボブズマーケット——行ったことがなくても、心の中にある聖地
『ワイルド・スピード』シリーズに登場するロサンゼルスの「トレットのマーケット&カフェ」。そのモデルとなった実在の店舗「ボブズマーケット」は、映画ファンなら誰しも一度は耳にしたことがある聖地です。正直に申し上げると、私はまだそこを訪れたことがありません。しかし、不思議なもので、映画のシーンを何度も見返すうちに、まるで自分もその空間を知っているような感覚になります。
作品の冒頭、ポール・ウォーカー演じるブライアン・オコナーが「ツナサンド、耳なしで」と注文するあの場面。そこから始まるLAのストリートシーン、そして“ファミリー”との出会い。このボブズマーケットこそが、F&Fシリーズにおける“始まりの場所”なのです。
私自身、徳島でコーティング専門店SOUPを運営しており、毎日車と向き合う中で、F&Fに登場する1台1台の車や彼らの生き様に共感することが多くあります。特に、あの物語に流れる“車を通して人が繋がっていく”という感覚は、我々が提供するセラミックコーティングにも通じるものだと感じています。
映画の中で描かれる車たちは、単なる移動手段ではありません。そこには、それぞれのドライバーの想いが込められており、車は個性であり、仲間であり、家族なのです。そして、それを守り、輝かせることに真剣に向き合う人たちの物語がある。
まだ見ぬボブズマーケットを、私はただの“ロケ地”とは思っていません。それは、車と生きる人たちの物語を象徴する「心の拠り所」であり、映像越しでも確かに伝わってくる空気と情熱があります。
セラミックコーティングという仕事もまた、そうした“物語の一部”になれる手段だと信じています。お客様の愛車を最高の状態に保つことで、その人の人生に寄り添い、記憶とともに走り続けることを可能にする——それは、ボブズマーケットが象徴する「車と人との物語」と根本では繋がっているのです。
世界中のファンがボブズマーケットに惹かれる理由とは
『ワイルド・スピード』シリーズの聖地であるボブズマーケットは、ロサンゼルスのエコーパーク地区、アンジェリーノ・ハイツという場所にひっそりと佇んでいます。私自身は現地に足を運んだことはありませんが、写真や動画、SNSで共有される無数の投稿を見ていると、そこにある“空気”や“温度”が確かに伝わってきます。
ある日、SNSで見かけたのは、ヨーロッパから訪れたカップルがボブズマーケットの前で嬉しそうに記念撮影をしている姿でした。彼らの愛車は現地で借りたものでしょうが、ボディには「ワイルド・スピード仕様」のステッカーが貼られ、まさに作品の世界観に入り込もうとするその熱量に胸を打たれました。
また別の日には、南米から来たという青年が、映画に登場したチューンドカーのミニチュアモデルを手に写真を撮っている姿がありました。言葉は交わせずとも、その表情からは“憧れが現実になった喜び”が滲み出ていました。
ボブズマーケットの本来の姿は、ただの小さなコンビニエンスストアです。ホットサンドもなければ、カウンターもない、どこにでもあるような店構え。ですが、その“どこにでもある”日常の中にこそ、物語の原点が宿っているのだと私は感じています。
まさにこの感覚は、私たちSOUPが大切にしている価値観と重なります。愛車のコーティングも、見る人によっては単なる保護作業かもしれません。しかし、お客様にとっては「納車したときの輝きを守りたい」「旅の思い出を刻んだボディを綺麗に保ちたい」といった、かけがえのない感情が込められているのです。
当店に訪れるお客様の中には、「この車は息子が初任給で買ったんです」「結婚式の日にこの車で送ってもらったんです」といったストーリーを話してくださる方もいらっしゃいます。車は道具ではなく、人生の1ページを彩る存在——その想いに応えるべく、私たちは1台1台に心を込めて施工しています。
ボブズマーケットも同じように、単なる“建物”ではなく、“人の想いが集う場所”として、世界中から愛され続けているのだと思います。SNSやYouTubeでの拡散により、その存在はさらに拡大し、今では一種の“現代の巡礼地”とも言える存在になっています。
“ファミリー”を守るために、車と共に時を刻むコーティングの力
『ワイルド・スピード』というシリーズの根底に流れているテーマ、それは何よりも“ファミリー(家族)”です。血のつながりに限らず、共に走り、戦い、支え合う仲間との絆こそが、あの物語を突き動かすエネルギーとなっています。ファミリーの象徴であるトレットの家、そしてボブズマーケットは、常にその中心にありました。
私はまだボブズマーケットを実際に訪れたことはありませんが、それでもあの場所が持つ「帰る場所」のような安心感や、仲間と集う温もりは、映画のシーンを通して何度も感じてきました。画面越しの風景でも、そこに映る車たち、キャラクターたちのやりとりには、共通する“人と車の関係”が明確に表現されています。
SOUPにいらっしゃるお客様の多くもまた、愛車を「家族のように大切な存在」と捉えておられます。たとえば、お子様が生まれた記念に車を買い替えられたご夫婦。あるいは、亡きお父様が乗っていた車を今も大切に乗り続けている方。そんなストーリーが詰まった車たちに触れるたび、私たちは車の表面を“施工”しているのではなく、記憶や感情を“保護”しているのだと実感します。
セラミックコーティングの役割は、単なる艶出しや汚れ防止ではありません。それは、人生の節目で手にした車の輝きを、できる限り長く維持し、その時間の経過までも美しい記憶として刻んでいくための技術です。紫外線や酸性雨、鉄粉、洗車キズといったダメージから愛車を守り、長年にわたって“新車以上の美しさ”を保ち続けられる。それが、私たちがご提供している価値です。
F&Fシリーズがどれだけスケールアップしても、最終的にはトレット家のガレージに戻ってきます。これは、物語の中心にある“変わらないもの”を象徴していると私は思います。それは、人との絆であり、共に走った時間の記憶であり、そして何よりも“帰る場所”です。
車もまた同じです。どれだけ遠くへ走っても、どれだけ傷ついても、そのボディに刻まれた“記憶”を丁寧に守ることで、いつでも心の中にある“帰る場所”へ戻ることができる。そう信じて、私たちは一台一台と向き合っています。
ボブズマーケットは、まさにそんな“記憶の象徴”です。行ったことがなくても、その存在を知っているだけで、私たちは映画の中の仲間たちと同じように繋がっている気がする。セラミックコーティングもまた、物理的な距離を超えて、車を通して人と人を繋げる橋渡しとなるのです。
これからもSOUPは、お客様の“ファミリーカー”に込められた想いを大切にし、その物語が何年先までも輝き続けるよう、真心を込めて施工を続けてまいります。そして、いつの日か私も、自分の目でボブズマーケットを訪れ、あの原点に立てる日を夢見ています。