「売れるカラー」がない!? VW ID.Buzzが“ラッピング”で息を吹き返した理由

最近、カーディテイリングの現場でよく話題に上がるのが、フォルクスワーゲンの電動ミニバン「ID.Buzz」です。ミニバンというカテゴリー、そしてEVという特性から、市場ではやや苦戦が予想されていたこのモデル。しかし、ふたを開けてみると意外や意外、特にアメリカ西海岸では安定した販売を記録しているのです。

その背景には、実にユニークな施策がありました。ドイツ・ハノーファーで生産されるID.Buzzですが、生産上の都合により、アメリカ向けにはブラック、シルバー、ホワイトといった「地味」な単色モデルが多く供給されていました。日本でもよくある話ですが、車はやはり第一印象が大事。特に遊び心やデザイン性を重視する層にとって、無彩色のID.Buzzはちょっと物足りなかったようです。

そこでVWが打ち出したのが、「ラッピングによるカラー強化」です。なんと、販売店がID.Buzzにツートンカラーのラッピングを施す場合、その費用(3,000ドル)のうち1,500ドルをVWが補助するという施策が始まったのです。販売店からすれば、約半額で車両の印象をガラッと変えられるというわけです。

そしてこの戦略が見事に的中しました。モノトーンのままでは足が止まっていた在庫車が、ツートンの鮮やかなボディに変身するやいなや、見事に売れ始めたのです。私たちのようなカーケア専門店の目線から見ても、これは非常に理にかなったアプローチです。第一印象が購買に与える影響は、車でも絶大ですから。

ちなみに、ラッピングとセラミックコーティングは非常に相性が良いことをご存知でしょうか? ラッピング施工後、保護性能を高めたいというお客様には、SOUPで提供している「ラップ専用セラミックコーティング」をおすすめしています。耐久性を高め、色あせや汚れからビニール素材を守るこのメニューは、今や輸入車オーナーの間でも注目の的です。

ツートンで売れる!? EVとミニバンの苦境を逆転させた現場のアイデア

販売台数の動向を見ると、ID.Buzzの健闘ぶりがよく分かります。フォルクスワーゲンの発表によると、前年同期比で7.1%の販売増を記録し、6四半期連続での成長を実現しました。特にアメリカ西海岸、特にカリフォルニアではEVの普及が進んでおり、この地での需要が牽引役となっているようです。

とはいえ、肝心の車両が現地に届くには時間がかかります。ID.Buzzはドイツ・ハノーファーで生産されており、そこからアメリカ西海岸まで運ばれるため、在庫が潤沢になるまでにタイムラグが生じていました。販売店がようやく潤ってきたのは、ここ1〜2か月のことだそうです。

この「時差」と「カラー不足」を同時に補う解決策こそが、前述の“ラッピング”戦略でした。従来の「カラバリ不足で売れない」という悩みを、あえて「カスタム」という手段でクリアしていくこのアプローチには、私たちのようなカーケア専門店も学ぶところが多くあります。

実際、SOUPでもお客様から「この色に変えたい」「もっと個性を出したい」という声は年々増えています。ラッピングやペイントといった“見た目の変化”に加え、その後の“美しさを長持ちさせるケア”が重要です。特にID.Buzzのような目立つモデルは、街中でも注目を集めやすいため、いつまでも美しい状態を保ちたいというニーズが非常に高いのです。

そのため、ラッピング車両に対するセラミックコーティングのご相談も増加中です。通常の塗装と違い、ラップ素材には専用のコーティング技術が求められますが、SOUPでは専用コーティング剤を活用し、素材にやさしく、かつ高耐久の施工を行っています。こうした高品質な仕上がりこそが、個性派ユーザーの信頼を得る鍵だと感じています。

ID.Buzzの価格とその価値──高額EVにこそ必要な“次の一手”

ID.Buzzの価格帯は決して手ごろとは言えません。アメリカでの初期モデル「1st Edition」は、RWD仕様で67,045ドル、AWD仕様では71,545ドルという強気のプライスタグが付いています。よりスタンダードな「Pro S RWD」でも61,545ドルと、ファミリーユースのミニバンとしてはやや高額です。さらに追い打ちをかけるように、輸入車への関税率も2025年4月から引き上げられ、日本でも同様にEVや輸入車の価格高騰が懸念されています。

高価な買い物だからこそ、その「美観」と「資産価値」を長く保ちたいという声は、ますます強くなっています。私たちSOUPでも、こうした高価格帯のEVや輸入車を購入されたお客様から、納車直後のセラミックコーティング施工依頼が急増しています。

特にID.Buzzのような目立つデザインの車は、ボディの美しさが命。EV特有の静寂性とスムーズな加速感は、見た目が清潔で美しく保たれてこそ、真の満足感につながります。せっかくの2トーンラッピングも、紫外線や酸性雨による色あせ・劣化が進めば、印象が一気に変わってしまいます。そこにこそ、セラミックコーティングの出番があるのです。

SOUPで採用しているセラミックコーティングは、通常の塗装面はもちろん、ラッピング素材にも対応可能な専用施工です。撥水性・耐久性に優れたトップコート層が、紫外線や雨、ホコリなどのダメージからラッピングを長期にわたり保護します。

クルマを「移動手段」としてではなく、「自己表現のツール」として楽しむユーザーが増える中で、ラッピング×コーティングという組み合わせは、これからの主流になると私たちは感じています。SOUPでは、見た目の美しさだけでなく、日々の洗車の手間も軽減できるケアメニューをご提案しています。ID.Buzzのような存在感のあるEVこそ、最初の“ひと手間”が未来の満足に直結するのです

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