かつての族車が映し出した「昭和と平成の若者の魂」
私はSOUPというバイク・カーコーティング専門店を営んでいますが、昔からバイクに対する情熱は変わりません。特に昭和・平成を駆け抜けた“族車”と呼ばれるスタイルのバイクたちには、単なる暴走行為以上の文化的な背景があったと感じています。
暴走族――この言葉に対してネガティブな印象を抱く方も多いでしょう。確かに違法な走行行為や騒音の問題もあったのは事実です。しかし、彼らが乗っていたCBX400F、GS400、ゼファー、インパルスといったマシンには、当時の若者たちが“仲間意識”と“個性”をぶつけ合った証が詰まっていました。
例えば、ラメ入りのキャンディ塗装、三段シートに装着された手縫いの刺繍、スネークハンドル、フルチューンされたキャブレターに暴走管……それらは一見、無秩序に思えるかもしれませんが、実は“同じ時代に生きる者同士の美学の共有”だったのです。どのバイクにもオーナーの魂が込められていました。
そんな族車の特徴の一つが「唯一無二の存在感」。今で言う「カスタム」の原点とも言える手法で、外装、灯火類、ステッカーに至るまで一台一台が“アート”でした。現代のバイク好きにとっても、参考になる点が多いと私は思います。
コーティング業をしていると、ときどき当時の族車をレストアした方がSOUPに来てくださいます。なかには30年以上前のGSやCBXを丁寧に乗っている方もおられ、そういったマシンに対しては、クリア層の劣化や酸化を抑えたセラミックコーティングを施すことで、長年の風合いを保ちながらしっかりと保護することが可能です。
族車が象徴していたのは「自由への憧れ」や「不器用な表現」。だからこそ、我々コーティング業者も、彼らのバイクに向き合うときはただの“旧車”としてではなく、オーナーの記憶や想いを尊重する姿勢で仕事をしています。
今、再び族車への注目が集まり始めています。インスタグラムなどで当時の仕様を再現した“令和の族車風カスタム”を目にする機会も増えました。その一方で、現代的な保護技術――たとえばセラミックコーティングや耐紫外線処理――を組み合わせることで、かつてのバイク文化を令和に継承しながら、新しい価値を生み出すことも可能です。
SOUPでは、族車も含めた旧車バイク向けの特別メニューをご用意しており、塗装表面の保護はもちろん、磨きによる深い艶出しにも対応しています。もしあなたが、かつてのあの時代に憧れを抱いているなら、その想いを形にするお手伝いができるはずです。
そして何より、そうしたバイクたちは「今も生きている証」。その輝きを保ち、次の世代へつなぐために、私たちはセラミックコーティングという技術を通して支えていきたいと考えています。
令和のJDMバイク文化と“映える”進化
かつての“族車”が夜の街を走り抜けていた頃から数十年――バイクカルチャーは確実に進化を遂げました。特に令和の時代に入り、若者を中心に盛り上がりを見せているのが「JDMバイク文化」です。
JDM(Japanese Domestic Market)という言葉は、本来は日本国内仕様のクルマやパーツを意味しますが、現在では海外ファンが熱視線を送る“日本らしいバイク文化”全体を指す言葉として広まっています。現行車両であるヤマハのR25やカワサキのZ900RS、ホンダのGB350といったモデルが、InstagramやYouTubeを通じて注目を浴び、海外のファンからも“憧れの日本製バイク”として支持されています。
このJDMバイク文化の特徴は、性能だけでなく「スタイル」と「映え」を追求している点です。カスタムペイント、カウルのリメイク、フェンダーレス化やミラー位置の調整など、見た目の仕上がりへのこだわりが非常に高い。さらには、ナンバープレートの角度やウィンカーの配置、スマホホルダーやUSB給電の配線の取り回しまで、徹底した美意識を持つオーナーが増えていると感じます。
そうした背景から、見た目の美しさを長期間キープするための“仕上げ”として、SOUPのような専門店によるセラミックコーティングの需要も大きく伸びています。特にJDMバイクをカスタムした直後や納車直後に「一番きれいな状態を保ちたい」という想いでご依頼いただくケースが増加しています。
セラミックコーティングは、ボディ全体をナノレベルの被膜で覆い、汚れや紫外線、酸性雨から塗装を守るだけでなく、艶感も飛躍的に向上させます。塗装色が濃ければ濃いほど、その艶の深みは映えとして如実に表れ、まるでショールームから出てきたような輝きを放ちます。
また、JDMスタイルに多い“マット塗装”や“サテン仕上げ”にも対応した専用のセラミックコーティング剤を使用することで、質感を損なうことなく表面保護が可能です。私たちは常に施工環境やケミカルをアップデートしながら、こうした新世代のバイク文化に対応しています。
令和のJDMバイク文化には、明確な“見せる”意識があります。走りの性能も大切ですが、それと同等以上に“いかに綺麗で、自分らしい一台に仕上げるか”という部分に重きが置かれているのです。だからこそ、施工においてもただガラス質のコーティングを塗るだけでなく、光の屈折や映り込み、ラインのシャープさといった「目で見える差」にこだわりを持つべきだと考えています。
SOUPでは、こうしたJDMバイクオーナーの美意識に応えるため、塗装や素材に応じた最適な下地処理を行い、コーティング前の段階からその車両の個性を最大限に引き出す作業を大切にしています。SNSやイベントで注目を集める“魅せる一台”にしたいなら、コーティングの質は間違いなく仕上がりを左右する大きな要素になるでしょう。
JDM文化が世界的な広がりを見せる今、日本国内の施工レベルもそれに見合った精度が求められています。SOUPでは、JDMファンたちが誇れる一台を日本から世界へと発信できるよう、施工の技術と心を込めた対応を提供しています。
文化から価値へ。バイクとともに生きる喜びと未来への継承
バイクは単なる“乗り物”ではありません。それは人生の一部であり、時には生き方そのものを映す存在です。昭和・平成の族車文化が、自由や反抗を象徴したように、令和のJDMバイク文化は、美意識と洗練、そして発信力の象徴へと進化しました。今やバイクは「文化」を超え、「価値」へと昇華しつつあるのです。
私はSOUPで日々バイクに触れながら、多くのオーナー様と会話を重ねています。そのなかで感じるのは、どの世代にも共通して“バイクと共に歩む人生”への深い愛情があるということです。昔、父親が乗っていたバイクを息子がレストアし、再び公道を走らせる。あるいは若いオーナーが、昭和の車両を丁寧に手入れして、イベントに出展する。そうした姿に、文化の継承という美しさを感じずにはいられません。
コーティングという仕事は、一見すると“表面を綺麗にするだけ”のように思われるかもしれません。しかし実際には、塗装の下にある過去と、これから共に走る未来をつなぐ作業だと私は捉えています。たとえば、30年以上前の塗装面に残る微細な傷や色ムラ、日焼け跡――それらを一枚一枚丁寧に磨き直し、セラミックコーティングで守ることで、当時の姿に限りなく近い美しさを取り戻すことができます。
また、最近では“価値を維持する手段”としてのコーティング依頼も増えています。レストアした族車、限定カラーのJDM車、カスタムペイントを施した一点物のバイクなど、それぞれの車両には市場価格以上の“想いの価値”が込められています。SOUPでは、その価値を守るために、コーティング前の下地処理から徹底的に時間をかけ、マシンの素材や塗装に最適なコーティング剤を選定。1台1台、まるで作品のように仕上げています。
私はよく「バイクを大切にしたい」という言葉を耳にします。ですが、その“大切にする”という言葉のなかには、実に多くの意味が込められていると思います。見た目の美しさを保ちたい、走りの性能を長く維持したい、思い出の詰まった一台を子どもへ受け継ぎたい――そのすべてに応えられる技術が、セラミックコーティングにはあります。
だからこそ、SOUPでは施工のたびに「そのバイクの背景」まで想像します。過去どんな道を走ってきたのか、どんなオーナーに愛されてきたのか、そしてこれからどんな風に次の時代と向き合っていくのか。目の前のバイク一台に、そんな物語を重ねながら、今日も心を込めて磨いています。
令和の今、バイクは“乗る文化”から“遺す文化”へと移行しつつあります。その中で、セラミックコーティングは単なる施工ではなく、文化の保存と価値の継承を担う技術でもあります。
これからもSOUPは、全国から訪れるJDMファンや旧車愛好家の方々と共に、バイクという存在が持つ感動と誇りを、次世代へとつないでいきたいと願っています。そして、いつの時代もバイクが“人生を豊かにする相棒”であり続けられるよう、最前線の技術と心で支えていく所存です。