欧州生まれの異端児 ― 2016年式シビックタイプRの開発ストーリー
カーコーティング専門店SOUPの代表として、日々多くのスポーツカーと向き合う中でも、2016年式のシビックタイプR(通称FK2)は、ひときわ異彩を放つ一台です。このモデルは、ホンダが欧州で磨き上げたVTECターボの真骨頂であり、「日本未導入」という時代を経て、ついに国内でも正式に姿を現した特別な存在でした。
当時のホンダは、「ターボ化は魂を失う」と言われる風潮の中であえてVTECとターボを融合。K20C1型 2.0L 直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載し、最高出力310馬力、最大トルク400Nmという当時のFF最強スペックを実現しました。これは単なるパワー勝負ではなく、前輪駆動でニュルブルクリンクを7分50秒63で走破するという、世界に衝撃を与える開発成果でもありました。
開発は、ホンダの英国工場(スウィンドン)を拠点とし、欧州市場で鍛え上げられたシビックをベースに、スポーツモデルとしての限界性能を追求。ボンネットのエアスクープ、大型リアウイング、専用のエアロバンパーなど、視覚的な迫力と機能性を兼ね備えた外観は、今見ても色あせることがありません。
また、6速マニュアルトランスミッションは、ホンダらしい“節度のある”シフトフィールを継承。電子制御デフと組み合わせることで、トルクステアを巧みに制御しながら、俊敏な立ち上がり加速を実現しています。私は初めてこの車を施工したとき、「これはマシンというより、走るために生まれた生き物のようだ」と感じたことを今でも覚えています。
内装も当時としては異例のレベルに仕上がっており、赤と黒のスエード調スポーツシートやアルミ製シフトノブが、乗り込んだ瞬間から“走るための道具”であることを感じさせます。決して贅沢ではありませんが、徹底的にドライバーに寄り添った空間。それがこのモデルの真価です。
2016年モデルのタイプRは、今となっては希少価値が非常に高く、歴代モデルの中でも“異端児”と評されることの多い一台ですが、それこそが魅力です。ホンダが本気で「世界最速のFF」を目指して作り上げた一台。パワーとハンドリング、デザインと機能、すべてにおいて“本気のプロジェクト”だったことが、あらゆるディテールから伝わってきます。
この2016年式FK2タイプRは、私たちのようなコーティング専門店から見ても、磨きがいのある造形、保護する価値のあるディテールを持った一台です。その特別な成り立ちを理解し、丁寧に手をかけることで、より深くオーナー様の愛情に応えることができると考えています。
研ぎ澄まされた個性 ― 2016年式タイプRの魅力を語る
2016年式シビックタイプR(FK2)は、今の時代のクルマと比べても、ある種“尖りきった個性”を持ったモデルです。私たちSOUPのように、クルマのディテールと日々向き合っている者から見ると、この一台は単なるハイパフォーマンスモデルという枠を超えた、“哲学”を感じるクルマです。
まず最大の魅力は、なんといっても圧倒的な走行性能と刺激的なフィーリング。310馬力を前輪だけで受け止めるという大胆な設計は、冷静に考えればとんでもない挑戦ですが、実際に走らせるとまるで四輪駆動かのような安定感とトラクションに驚かされます。これは電子制御LSD(ヘリカル式)の存在や、綿密なシャシー設計があってこそです。
ステアリングは応答性に優れ、コーナリング中もフロントの荷重変化をしっかりと感じ取ることができます。そして6速MTのショートストロークな操作感は、まさに“自分で操る喜び”をダイレクトに体感できるもの。私はこのクルマの施工時、シフトノブの磨きやパネルの拭き上げ作業をしているとき、なぜか心が弾んでいました。「機械と対話している」ような空気が、クルマ全体に宿っているのです。
外観の存在感も忘れてはいけません。大型リアウイング、フロントエアスクープ、リアディフューザー、そして19インチの専用ホイールに刻まれたレッドライン。どこを取っても“戦闘機”のような印象でありながら、それが不思議と機能美として成立しているのは、ホンダのデザインに対する誠実さの証です。
そして、この外観が持つ“情報量の多さ”こそが、私たちコーティング専門店にとっては最もやりがいのある部分です。強いプレスライン、複雑な形状のフェンダー、エアインテーク周辺の立体構造。それぞれのパネルが光を受けたとき、きちんと磨かれた塗装であればあるほど、「陰影の美しさ」が表情として浮かび上がります。
室内は決して豪華とは言えませんが、ドライバーのために全てが配置されているのが伝わってきます。レッドのスエード調バケットシートは見た目以上にホールド性に優れており、長時間の運転でも疲れにくい設計。ステアリングの皮質も上質で、エンジンの回転上昇とリンクするようなタコメーターの動きも、走る愉しさを感じさせてくれる演出の一つです。
今となっては生産終了から年数も経ち、2023年以降のタイプRと比較されることもありますが、「あの時代だからこそ生まれた、ターボ初期のVTECスポーツ」という独特な立ち位置は、むしろ今の時代にこそ光る魅力ではないでしょうか。
当店にご依頼いただいたFK2オーナーの方の中には、「もう絶対に手放せない」とおっしゃる方もいます。走る楽しさ、見た目の鋭さ、そして“ホンダが限界までこだわった時代”を感じさせてくれる存在。そんな唯一無二の個性を、このクルマは間違いなく持っていると私は感じています。
歴戦の相棒を、いつまでも美しく ― FK2型タイプRとセラミックコーティングの相性
2016年式のシビックタイプR(FK2)は、走行性能だけでなく、オーナーの所有欲を強く満たす存在です。ですが、こうしたスポーツモデルこそ、年数とともに「経年劣化の現実」と向き合う場面も増えてきます。私たちSOUPでは、そんな大切な愛車の“今”と“これから”を守るために、セラミックコーティングという選択肢をご提案しています。
まず、FK2型は空力とデザインが融合した立体的なボディラインを持っています。フロントバンパーの複雑なプレス形状、サイドスカート、リアディフューザー、さらにはルーフスポイラーに至るまで、通常のコーティングでは塗り残しやムラが発生しやすいディテールが満載です。
その点、当店では細部の下地処理からコーティングまで一貫して手作業で行い、隅々まで均一に仕上げることにこだわっています。たとえば、ドアミラーの裏やフロントエンブレム周辺など、洗車キズが入りやすい場所も丁寧に研磨し、高密度セラミック皮膜で包み込むように保護します。
また、FK2のオーナー様に多いのが「屋外保管」や「サーキット走行を定期的に行う」といったシビアな使用環境。こうした状況では、紫外線・水ジミ・鉄粉・虫の衝突など、多くの外的ストレスが塗装に蓄積します。当店で使用しているセラミックコーティングは、これらに高い耐性を持ち、1年以上の長期保護が可能です。
さらに注目したいのがホイールとブレーキ周り。ブレンボキャリパーを備えるFK2は、制動力こそ素晴らしいものの、ブレーキダストの量が非常に多く、ホイールの汚れやすさが課題です。SOUPでは、ホイール専用の耐熱コーティングを施すことで、ダストの付着を抑え、洗車の手間を大きく軽減できます。
もちろん、単に施工するだけでなく、お客様の保管状況・使用頻度・仕上がりの好みに応じて、複数のプランから最適なメニューをご提案いたします。例えば「艶よりも防汚性能を重視したい」「とにかくツヤ感を優先したい」など、個々のご要望に寄り添うのがSOUP流のサービスです。
FK2は、2020年代以降のタイプRと比べるとやや“無骨”に見えるかもしれませんが、その分、走りに対する純粋さと、クルマとしての力強さを持っています。その魅力を引き立て、永く保つ手段として、セラミックコーティングは非常に有効です。
あなたのタイプRを、走るたびに誇らしく思える存在にするために――。
SOUPはその一台一台と真剣に向き合い、魂を込めて仕上げてまいります。
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