GT-RとNSXの未来は、共創で加速する


2025年のニューヨーク・オートショーにて、日産アメリカの副社長でありチーフ・プランニング・オフィサーを務めるポンズ・パンディクティラ氏が語った一言が、スポーツカー好きの私たちの間で大きな話題となりました。それは、「GT-RとNSXが、将来的に同じプラットフォームで共同開発される可能性がある」というものでした。
GT-Rといえば“日本の怪物”とも称される、圧倒的な加速性能と先進技術が融合したハイパフォーマンスカー。一方でNSXは、航空機技術を想起させるような軽量アルミボディと精緻な操縦性で、まるで精密機械のような存在感を放つスーパーカーです。両者は方向性が大きく異なりながらも、日本が世界に誇る“走りの象徴”という点で共通しています。
パンディクティラ氏は「NSXは軽量かつ正確な走りを追求するエアロ的な存在、GT-Rは洗練された野獣。両者を同じプラットフォームで開発しても、決してクローンにはならない」と明言しました。この発言に私は強い共感を覚えました。というのも、私たちSOUPで取り扱うセラミックコーティングも、車の個性を引き立てつつ、本質を損なわない施工が求められるからです。
仮にNSXとGT-Rが同一の技術基盤から誕生するとしても、それぞれの「らしさ」は必ず守られる。それは、我々コーティング施工者が異なる車種ごとに素材やパネル構造を見極め、最適なプライマーやトップコートを選ぶ姿勢と重なります。たとえばGT-Rのような重量車には、摩耗耐性と熱拡散性に優れた厚膜コーティングが有効ですが、NSXのような軽量車には、ボディの反応性を維持する薄膜タイプが適しています。
こうした細かな対応の積み重ねが、車の美観と機能を両立させる結果につながるのです。GT-RとNSX、それぞれが異なる理想を体現しているからこそ、それを共に生み出すという試みにも、未来のモビリティの可能性が詰まっていると感じています。そして、そんな未来のスーパーカーがSOUPのガレージに入庫する日を思い描きながら、私たちは今日も一台一台と丁寧に向き合っています。
共闘が生むシナジー、新時代の名車たちへ
日産とホンダという二大巨頭が、正式な企業合併は取り下げたものの、製品単位での連携に動いているという事実には、私たち現場の人間も驚きと期待を抱かずにはいられません。2024年12月には合併発表を行ったものの、わずか2ヶ月で計画は白紙に。しかしながら、両社は「戦略的パートナーシップ」という形で新しい局面を迎えています。
その中で注目すべきなのが、GT-RとNSXというそれぞれのブランドの象徴的存在が、将来的に“共通の土台”のもとで生まれ変わる可能性があるという点です。これは単なる合理化ではありません。異なる思想とフィロソフィーを融合させることによって、かつてないパフォーマンスと洗練を手に入れる。そんな未来の“名車”誕生の予感が、業界内外の関心を集めています。
私たちSOUPにとって、こうした技術の融合は決して他人事ではありません。なぜなら、セラミックコーティングもまた「異なる素材や状況に対して、それぞれ最適な処方を見出す」という点において、まさに同じようなアプローチが求められるからです。
例えば、NSXのようにアルミ素材を多用している車体には、密着性と柔軟性を両立させた専用プライマーを選定する必要があります。逆にGT-Rのような高出力・高重量モデルでは、硬度と厚みのバランスに優れたコーティング剤が求められます。それぞれの“素材の性格”を読み解き、その車に最もふさわしい手法で仕上げる――これがSOUPが提供する本物のクオリティです。
また、共同開発によって生まれる車両は、見た目には似ていなくても、内部構造やセンサー配置などが似通ってくる可能性があります。そうなると、私たちのようなプロショップにとっては施工の標準化やノウハウ共有がしやすくなり、より安定した高品質なサービスの提供が可能になります。
たとえGT-RとNSXが同じシャシーを使うようになったとしても、最終的なデザインや走行特性はブランドごとに明確に差別化されるでしょう。そして、私たちSOUPも、それぞれの個体に対して最適なコーティング設計を行い、“似て非なる美しさ”を守る役割を担っていきたいと思っています。
こうした背景を理解して施工するのと、ただ表面を磨いてコートするのとでは、仕上がりにも大きな差が出ます。次世代のGT-RとNSXを手がける日が来たとき、私たちはその車の“技術の系譜”と“誇り”までをも意識しながら、一台の作品として仕上げていく覚悟でいます。
進化と継承、その“素肌”を守るという使命
GT-RとNSXが、それぞれの進化の先にたどり着く“次の一歩”。日産はR36 GT-Rについて「EVではなくハイブリッドまたはプラグインハイブリッドとして開発中」と明言し、一方でホンダは「NSXの名前を使わない可能性もあるが、スポーツモデルは継続する」と発表しました。
このように、単なるモデルチェンジではなく、ブランド哲学の再定義すら視野に入れた動きは、単なるスペック以上の“存在意義”を持たせようとする強い意志の表れだと感じます。
私たちSOUPでは、こうした思想的な背景を深く理解することが、セラミックコーティングにおける品質の根幹だと考えています。どれだけ高性能なコーティング剤を使ったとしても、「この車はどういう存在か?」を知らずして、本当に価値ある仕上がりは実現できません。
特にGT-Rのようなスポーツ性と機能性を極限まで高めたモデルは、ボディ温度の急上昇やブレーキダストによる攻撃性など、物理的にも過酷な環境に晒されます。そこに対しては、耐熱・耐薬品性能を持つセラミック層で守り、塗装面の酸化や変色を抑える必要があります。
逆にNSXのように、軽量化と空力を徹底追求したモデルには、施工時に極限まで薄く均一に膜を形成する高度な技術が求められます。塗装表面の「しなやかさ」を奪わず、それでいて汚れや紫外線から守る――その両立は、施工者の経験と知識に大きく依存します。
コーティングとは、単なる「キレイにする作業」ではなく、ある種の“継承”だと私は考えています。メーカーがどれだけ緻密に設計したとしても、オーナーの手元に届いた瞬間から、外的要因との闘いが始まります。そのボディを守るという行為は、開発者の魂を次の世代へと繋ぐ“最後の砦”だといっても過言ではありません。
次世代のGT-RやNSXが、技術的にもデザイン的にも全く新しい存在となったとしても、その根底にあるのは「操る喜び」「誇れる存在」という普遍的な価値観です。そして、その価値を傷つけることなく引き出すのが、私たち施工者の仕事です。
クルマが進化するなら、私たちも進化しなければなりません。だからこそSOUPでは、日々新しい素材・新しい塗装・新しい技術への研究を怠らず、どんなにも対応できる体制を整えています。GT-RとNSX、そしてそれに続くスポーツカーたちが、 ”時代を超えて語り継がれるために――その“素肌”を守る責任と誇りを、私たちはこれからも胸に刻み続けます。