ホンダが「守る」ことに本気になった理由。ヘリテージワークスという選択

ホンダが、ついに本気で「過去の名車と向き合う」時代に入ったと感じています。2025年末に発表された「Honda Heritage Works(ホンダ・ヘリテージ・ワークス)」は、単なる部品再販の話ではありません。NSXを筆頭に、ホンダが生み出してきた“走りの記憶”を、これから先の世代へどう残していくのか。その覚悟が、はっきりと形になった取り組みだと思います。

このヘリテージワークスは大きく二つの柱で構成されています。一つは「ヘリテージパーツ」。もう一つは「レストレーションサービス」。一見すると分かりやすい内容ですが、注目すべきはその中身です。特にパーツ供給の考え方が、非常に現代的で誠実だと感じました。

ヘリテージパーツには二種類があります。一つは「互換パーツ」。これは単なる復刻ではなく、当時は技術的に難しかった部分を、現在の技術や素材で見直した“進化版”の純正部品です。例えば、当時は耐久性に課題があった部位や、経年劣化が避けられなかった素材を、今の製造技術で再構築する。アフターマーケットが長年積み上げてきた知見を、メーカー自身が正式に取り込むようなイメージに近いですね。

もう一つが「完全再現パーツ」。こちらは当時と同じ素材、同じ製法で再現される純正部品です。オリジナルの質感、音、手触りを大切にしたいオーナーにとっては、これ以上ない朗報でしょう。そして何より重要なのは、これらのパーツが日本国内だけでなく、世界中で正規流通するという点です。日本車のクラシックに乗る海外オーナーにとっても、これは大きな意味を持ちます。

ホンダCR-Vにセラミックコーティングを施工。徳島県のカーコーティング専門店SOUPではアウトドアに最適なコーティングを提案しています。

私たちSOUPでも、年式を重ねた車両の相談を受けることが増えています。塗装の状態、樹脂パーツの劣化、ゴム類の硬化。こうした問題は、部品が手に入らなければ根本解決ができません。だからこそ、メーカー自身が「もう一度つくる」「より良くして出す」と明言した意義は、とても大きいのです。

そして、こうしたパーツを長く守るために欠かせないのが、私たちが日々扱っているセラミックコーティングガスプライマーです。せっかく再生された部品や再塗装されたボディも、紫外線や酸性雨、熱の影響を受け続ければ、劣化は避けられません。ホンダが“直す”ことに踏み出した今、私たち施工店は“守る”役割を、より強く意識すべき時代に入ったと感じています。

レストアは「完成」ではなく「スタート」。だからこそコーティングが意味を持つ

ホンダ・ヘリテージ・ワークスでもう一つ注目すべきなのが、レストレーションサービスです。これまでNSX向けに行われてきた「リフレッシュプラン」が、今後はより広い車種展開を見据えた正式サービスとして進化していきます。作業は栃木県高根沢にある専用施設で行われ、ホンダ自身が責任を持って車両と向き合います。

内容は大きく二段階に分かれています。一つはエンジンやサスペンションなど、走行性能に関わる部分を中心としたベーシックレストア。もう一つは、ボディを骨格状態まで分解し、再塗装や内装の張り替えまで行うトータルレストアです。シート表皮、ダッシュボード、ドアトリムに至るまで、車の時間を巻き戻すような作業が想定されています。

ここで大切なのは、レストアが「完成」ではないという視点です。むしろ本当のスタートは、そこから先にあります。再塗装されたボディは、見た目こそ新車同様でも、塗膜自体は非常にデリケートです。内装も同じで、紫外線や熱、湿度の影響を受けやすい状態にあります。

だからこそ、レストア後の保護が極めて重要になります。SOUPでは、クラシックカーやレストア車両に対して、過剰な艶出しではなく、素材を安定させるためのセラミックコーティングを重視しています。特にガスプライマーを下地に使用することで、塗装表面の密着性と耐久性を高め、経年変化を穏やかにコントロールすることが可能になります。

 

これは「長く乗る」ための考え方です。展示用でも、投資目的でもなく、次の10年、20年を一緒に過ごすための準備。ホンダが工場でレストアを行い、私たち施工店がその状態を維持する。この流れが整って初めて、日本の名車文化は本当の意味で次世代へ受け継がれていくのだと思います。

この取り組みが示しているのは「メーカーは、もう古い車を切り捨てない」という明確なメッセージです。私たちSOUPとしても、その想いに応える形で、車の価値と時間を丁寧に守る施工を続けていきたいと考えています。

レストアはゴールではありません。むしろ、新しい付き合いの始まりです。そのスタートラインに、正しい保護と考え方を用意できるかどうか。それが、これからのクラシックカーとの向き合い方なのだと感じています。

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