スバルBRZとWRXの販売が伸び悩む背景と、今の市場が示すこと

近年、スバルBRZとWRXという、いわゆる「純度の高い走り」を愉しむためのスポーツモデルが、国内外で販売停滞の傾向を見せています。電動化やSUV人気が語られる現代において、BRZとWRXはどちらもハイブリッド化もされておらず、走りに特化したシンプルな構造を持つ、いわば「エンスージアストのための車」です。しかし、その純度の高さが、今の市場においては、必ずしも追い風になっていない現実があります。
アメリカ市場では、WRXの価格上昇が販売の足かせになっており、約30%の値上がりが続く中、消費者の購買心理に影響を及ぼしています。また、ディーラー側がSUVや実用モデルを優先して在庫を確保する動きもあり、「買いたくても買えない」状況が発生したことも、販売減少に拍車をかけました。一方BRZに関しては、価格の大幅な変動はなくとも、時代のトレンドが明確に変わってきていることが影響しています。生活の軸が「移動としてのクルマ」から「ライフスタイルを支える道具」へと変化した結果、趣味性の高い2ドアスポーツは、明確な目的意識を持つユーザーに求められる領域となってきました。
しかし、ここで見落としてはいけないのが、「これらが価値を失っているわけではない」という点です。むしろ、走りの実感や、車体と路面の一体感を求める人にとって、BRZもWRXも、いまだに唯一無二と言える存在です。普遍的な走りの美学、無駄をそぎ落とした構造、そしてドライバーが主体となる楽しさ。これらは時代が変わろうとも、確かな価値として残り続けます。
私は徳島県三好市でカーコーティング専門店SOUPを運営しており、BRZやWRXを所有するお客様の多くが、むしろ「この車である必要がある」という強い軸を持っておられます。だからこそ、走りの質だけでなく、所有する喜びを長く維持するためのケアが重要になってきます。例えば、紫外線や鳥フン、雨染みなどに対してボディを守るセラミックコーティングは、車の価値を長期的に保つうえで非常に有効です。また、塗装下地の密着性を高めるガスプライマーを併用することで、塗膜の耐久性や透明感がさらに安定し、美しさが「長く続く状態」を実現できます。
販売台数という数字だけを見ると、BRZやWRXは「勢いを失った」と見えるかもしれません。しかし、実際にはユーザー層が「深く選ぶ人」へと再編されている段階であり、これはスポーツカー文化において決して悪い兆候ではありません。むしろ、所有の意味や価値を再確認しながら乗り続ける時代に差し掛かっていると言えます。だからこそ、「持ち続けるための手入れ」が、これからのスポーツカーライフでは重要なキーワードになります。
これからのスポーツカーライフと「守りながら乗り続ける」価値観

BRZやWRXの販売が停滞していると言われるなかで、ひとつ明確に言えるのは、「クルマの楽しみ方が変わってきている」ということです。若い世代のカーライフは、かつてのように“走ること”だけが中心ではありません。日常と趣味、都市と地方、オンとオフ。そのすべてのバランスの中で、クルマは「自分の時間を豊かにする媒介」へと役割を変えつつあります。
そのなかで、BRZやWRXのような走りに特化したスポーツカーは、ただ移動のための道具ではなく、「自分が選んだ理由のある存在」として、所有者の感覚に寄り添い続けています。例えば、早朝の峠道、夜の河川敷、週末に遠回りして帰る国道。日常のなかにふと訪れる「走る喜びの瞬間」を求める人にとって、BRZもWRXも、他のどの車とも置き換えられない体験を与えてくれます。
しかしその一方で、こうした車は、その「佇まい」や「仕上がり」を保つことも所有の喜びの一部になります。スポーツカーは、ボディ形状がシャープで空力特性を持つため、細かいキズやウォータースポットが見えやすい特徴があります。また、日差しの強い地域や、山間部特有の樹脂汚れ・花粉・虫汚れなど、外的な要因によるダメージも無視できません。

こうした背景から、私はSOUPにおいて「セラミックコーティング」と「ガスプライマー」の併用を強く提案しています。ガスプライマーは、単なる下地処理ではありません。塗装表面の分子レベルでの密着性を安定させ、セラミック層の定着を高める役割を担います。これにより、コーティングの保護性能が飛躍的に向上し、ボディのクリア層が持つ透明感と深みが、より長く維持されるようになります。
つまり、「走る楽しさ」に加えて「長く美しく乗り続ける」という楽しみ方が、これからのBRZ・WRXオーナーの新しいスタンダードになっていくと考えています。それは、ただ車を守るためではなく、「この車と生きる時間」を丁寧に扱う姿勢そのものです。
販売台数が減ったからといって、スポーツカーの文化や価値が薄れているわけではありません。むしろ、時代が速い流れに傾くほど、手触りのある体験や、自分の意思で選ぶ愉しみがいっそう大切になっていきます。そして、そこには確かな「人の温度」が宿ります。
スバルBRZやWRXに乗るということは、「誰かに受け入れられる選択」ではなく、「自分で選び取る選択」です。その選択を、より誇れるものにするための手段として、私はこれからもコーティングというかたちで、お客様のスポーツカーライフに寄り添っていきたいと考えています。


























