アウディ純正ヴィンテージパーツが北米で正式展開される可能性について

アウディが、ついに北米市場においてクラシックモデル向けの純正リプロダクションパーツを本格的に展開するかもしれない――。そんなニュースが、アウディ好きの間で静かに、しかし確実に話題になっています。きっかけは、Audi Club North America(アウディ・クラブ・ノースアメリカ)が公式SNSを通じて行った、あるアンケートでした。

このアンケートは「Audi Tradition(アウディ・トラディション)」と呼ばれる、アウディの歴史的モデルを支える部門に対して、北米のユーザーがどのような純正パーツを求めているのかをまとめ、正式にフィードバックするためのものです。日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、Audi Traditionはヨーロッパを中心に、過去の名車たちのための補修部品や再生産パーツを手掛けてきた、いわば“メーカー公式のヘリテージ部門”です。

ただ現状、そのパーツは北米では直接販売されておらず、一部の正規ディーラー経由で例外的に取り寄せできる場合がある、という非常に曖昧な運用に留まっています。ディーラーごとに対応が異なり、知識の差も大きい。その結果、「欲しい純正パーツがあるのに辿り着けない」というフラストレーションが、長年オーナーの間に溜まってきたのも事実です。

今回のアンケートが興味深いのは、必ずしもクラシックアウディの現オーナーだけを対象にしていない点です。設問の中には「今は所有していないが、Audi Traditionのパーツが普通に手に入るならクラシックアウディを持ちたい」という選択肢も用意されています。つまりこれは、単なる部品供給の話ではなく、“ブランドの未来をどこまで過去と繋げるか”という問いかけでもあるのだと思います。

SOUPで日々クルマと向き合っていると、こうしたメーカーの姿勢は決して他人事ではありません。部品が供給され続けるという安心感があるからこそ、オーナーはクルマを長く大切にし、結果として価値が積み重なっていきます。たとえばボディの状態ひとつ取っても、塗装が健全に保たれていれば、再生産された純正パーツを使ったレストアの完成度は大きく変わります。

私たちがセラミックコーティングガスプライマーにこだわる理由も、まさにそこにあります。単に「今、きれいに見せる」ためではなく、10年、20年先に部品を交換しながら乗り続ける未来を見据えて、塗装面や素材そのものを傷めない状態で残す。その考え方は、Audi Traditionの取り組みと根っこでは繋がっているように感じます。

もしアウディが本気で北米に純正ヘリテージパーツを供給するようになれば、RS2 Avantのような名車たちは、単なる“過去の憧れ”ではなく、現役で走り続ける存在として、次の世代に受け渡されていくはずです。その土台を支えるのは、部品だけでなく、日々の正しいケアと、クルマを大切にする意識なのだと思います。

クラシックアウディを未来へ残すために、今できる現実的な選択

クラシックカーというと、「維持が大変」「趣味性が高すぎる」といった印象を持たれることも少なくありません。確かに、部品が手に入らない、情報が少ない、信頼できるショップが限られる――そうした壁があるのは事実です。だからこそ今回のAudi Traditionパーツ北米展開の動きは、単なる朗報ではなく、クラシックアウディを“現実的な選択肢”に引き戻す一歩だと感じています。

SOUPのオーナーとして日々感じるのは、「長く乗れるクルマ」と「結果的に価値が残るクルマ」は、ほぼ同義だということです。価値というと相場や価格の話になりがちですが、本質はもっとシンプルで、「状態が良い」「手が入れられている」「きちんと守られてきた」という積み重ねに尽きます。そこに、純正部品が今後も手に入るという安心感が加われば、クラシックカーは一気に身近な存在になります。

 

ただし、どれだけ部品供給が整っても、ボディや塗装そのものが劣化してしまっていては意味がありません。交換できるのは部品であって、当時のオリジナル塗装や素材感は、一度失えば二度と戻らないからです。ここが、私たちがセラミックコーティングやガスプライマーを「嗜好品」ではなく「備え」として考えている理由です。

ガスプライマーは、塗装表面の密着性を高め、コーティング本来の性能を安定して発揮させるための下地処理です。派手さはありませんが、この工程を丁寧に行うかどうかで、数年後の塗装状態に大きな差が生まれます。特にクラシックアウディのように、塗装が比較的繊細な年代の車両では、余計な研磨や強い薬剤を避けながら守るという考え方が非常に重要です。

セラミックコーティングも同様で、「艶を出すためのもの」というより、「触れなくても汚れが落ちやすい状態を作る」「洗車時の負担を減らす」ための技術だと捉えています。結果として、洗車キズや紫外線ダメージが抑えられ、オリジナルコンディションを保ちやすくなる。これは、将来Audi Traditionの純正パーツで整備する際にも、車両全体の完成度を高めてくれます。

新車 トヨタ MAPJ10 ヤリスクロスへの施工工程。 徳島県三好市のカーコーティング専門店SOUPが、SystemX Crystal SS セラミックコーティング専用ガスプライマーを丁寧に施工中。 コーティングの密着性・耐久性を大幅に向上させる重要なプロ仕様の下地工程です。

今回のアンケートには、「今は持っていないが、環境が整えば欲しい」という声も含まれていました。それは決して夢物語ではなく、「部品があり、守る手段があり、相談できる場所がある」ことで初めて現実になります。クラシックアウディを未来に残すというのは、メーカーだけの役割ではなく、オーナー一人ひとりの選択の積み重ねなのだと思います。

もしアウディが北米で正式にヘリテージパーツを展開すれば、その流れはいずれ日本にも波及するでしょう。そのときに、「このクルマは、ちゃんと守られてきた」と胸を張れる状態であるかどうか。SOUPとしては、その時間を一緒に支える存在でありたいと考えています。クラシックカーは、過去の遺産ではなく、未来へ受け継ぐ文化です。そのために、今できることを丁寧に積み重ねていく。それが、私たちの変わらないスタンスです。

関連するコラム